鍼灸医学生涯教育研究会では、アメリカ医学鍼灸の教祖的存在であるJoseph M Helms先生の理論に乗っ取った鍼灸医学を基礎に、実践に役立つ鍼灸を勉強することを目的としております。アメリカ鍼灸と言ってもその起源は中医学であり、日本に伝わる鍼灸医学ともかなり共通する部分があります。

日本医師鍼灸研究会は、2000年に現アメリカ医学鍼灸学会（American Association of Medical Acupuncture; AAMA）会長である中澤弘先生が浜松の間宮康喜先生とともに3日間のhands on seminarを開催されてから発足致しました。以来8年間、毎年秋3日間の実践セミナーは恒例となり、常に参加者を驚かせる結果を提供してきたのですが、反面問題点も少なからず明らかとなって参りました。つまりHelms先生のアメリカ鍼灸を基礎から学ぶ機会が我が国にはない、浜松でのセミナーは中級以上のレベルになってしまい初級者にはチンプンカンプンである、教科書のAcupuncture Energetics は日本語訳がなく、英語の苦手なものには勉強できない、などです。

こういった問題点を少しでも解消すべくこの研究会は発足致しました。アメリカは「人種のるつぼ」と言われるように、歴史や伝統が浅い反面良いもの、優れているものはなんでも柔軟に取り入れる傾向があります。鍼灸に関しても例外ではなく、AAMAでも中国や日本、韓国の伝統的な鍼灸手技が次々と紹介されておりますが、実践で役に立ちそうもないものは消えていきます。それだけオープンで厳しい評価を受ける場でもあります。その中で生き残っているHelms鍼灸とは一つの流派というよりは、いろいろな流派の集約と言えるでしょう。我々はそのような篩にかけられた、患者さんの役に立つ鍼灸の勉強をしていきたいと願っています。

この講座ではまず教科書Acupuncture Energetics に沿って鍼灸の基礎を学びつつ、実践でどのようにそれを発展させて行ったらよいかを勉強していきたいと思います。鍼灸の初心者には基礎から学べ、また中級者以上の方には新たな発見があるような場であることを祈っております。